東京電機大学 理工学部 生命科学系

合成生物学研究室

合成生物学とは?

What is Synthetic Biology?

生命をデザインし、新しい機能やシステムを創る

近年、ゲノム解析技術の進展によって解読された生物のビッグデータは、IT/AI技術を利用したゲノム配列と生命機能の関係性の予測に大いに活用されています。こうした予測に基づきデザインした生命機能やシステムは、生命を構成する要素(DNAやタンパク質)をプラモデルのように組み上げることで、人工的に作り出すことが可能になっています。このように生命の仕組みを作って調べて理解する学問が「合成生物学」になります。

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バイオエコノミー社会*1の到来

How Synthetic Biology is role?

合成生物学は私たちの暮らしを支えている

2020年、新型コロナウイルス感染症は世界中で蔓延し、現在もなお私たちの健康・社会経済に大きな損失を与えています。世界でパラダイムシフトが起こる中、私たち人類はPCR及び抗体検査技術、治療薬、RNAワクチンなどを開発し、安心して社会経済活動を営むことができています。合成生物学は健康・医療だけでなく、環境・エネルギー、素材・材料、食品など幅広い産業の技術開発に活用されており、アレルギー物質の少ないゲノム編集食品、化石燃焼依存を脱却する環境調和型バイオ化成品の開発など 私たちの豊かな暮らしを支えています。このように合成生物学の期待値は高く、2030年の市場規模は約200-400兆円*2に成長する見通しです。
*1バイオテクノロジーが経済生産に大きく貢献できる市場
*2OECD加盟国2030年予測

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生命の設計図を形に

How is DNA parts synthesized?

生命をデザインし、新しい機能やシステムを創る

合成生物学でつくる対象は、生命の設計図たるゲノムDNA、生化学的反応を触媒する酵素、生命現象を支える生命システム、細胞、個体と多岐にわたります。その中で私は人工的にデザインした遺伝子を作る遺伝子合成技術や長鎖DNA合成技術を基盤として、機能性酵素や遺伝子回路、そして微生物育種による植物由来医薬品生産技術の開発など、生物を工学化し、役に立つ形で社会に貢献する研究を進めています。

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デザイン生物から医薬品原料を

Synthesizing medicine by designed cell

古来より、私たちは植物を薬用資源として利用することで、現在もなお恩恵を受けています。薬用植物に含まれる化合物(二次代謝産物)には薬理活性を持つ医薬品原料が数多く存在しています。これらの医薬品原料の多くは化学構造の複雑さから工業生産が難しく、植物から抽出することで得られています。しかしながら、植物の大規模栽培が必要なため手間がかかる上に原料の存在量が植物内で微量なため、大量生産できず市場への安定供給が難しいなど課題が残っています。この課題を解決するため、私たちは作って調べる合成生物学を駆使し、人工合成した植物由来遺伝子を微生物に実装することで、微生物による植物由来医薬品原料の生産に力を入れています。

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