分子発生生物学研究室

研究内容

ゲノム編集法を用いた核凝縮機構の解明
    細胞がアポトーシスを起こす過程の最後の実行過程でおきるのが、DNA切断と核の凝縮である。DNA切断に関しては、分子レベルでほぼ解明されたが、核の凝縮の仕組みについては不明な点が多い。そこで私たちは、細胞から核を単離し、試験管内で核が凝縮するcell-freeアポトーシス系を改良した。これを用いて、核凝縮が3つのステージ(リング、ネックレス、収縮)を経ること、ネックレス、収縮ステージに進むためにはDNase、caspase6がそれぞれ必須であることを見いだした。しかしながら、1番目のリングにさせる因子については、ヒストンH2Bの14番目のセリンがリン酸化されることと深い関係があることを見いだしたが、同定には至っていない。文献的には、H2Bのリン酸化を起こすキナーゼは3種類報告されている。これらをゲノム編集法でノックアウトした培養細胞を作り、核凝縮がどう影響を受けるかを解析する。
精巣上体における遺伝子発現パターンの解析
    精巣を通過しただけでは、哺乳類の精子は完成型ではない。精巣を出た後、精巣上体と呼ばれる、目立たない小さな器官を通ることで、精子は多くの生化学的修飾を受ける。今日、不妊症の原因の約4割が男性側にあるとされ、その多くが精子形成不全である。私たちは以前に、IDO(インドールアミン酸素添加酵素)というトリプトファン分解酵素の遺伝子ノックアウトマウスに、異常な形態をした精子が多いことを見いだした。このIDOが恒常的に最も強く発現する臓器の1つは精巣上体であり、しかも精巣上体の特定の部分でのみ発現していることを考え合わせると、精巣上体でIDOが発現することが異常精子の選別に関与する可能性がある。そこで精巣上体の10個の部域で遺伝子発現パターンがどのように異なるのかを解析する。
ゲノム編集法を用いたマウスゲノムの改変
    ゲノム編集法によってマウス受精卵に変異を導入し、新たなマウス系統を作出し、基礎医学的研究に資するようにしたい。
ページのトップへ戻る